2008年07月09日

ネット社会から見える人間の深層心理、ネット社会の盲点

 社会が高度のネット社会になるということは、人と人との相互作用を介すことなく、目的を達することをいう。基本的に、人と人とは、一対一の対応が原則であった。電話であれば、話し手と受け手が、ひとつのラインでつながる。何かやってもらうのも、人を介す場合には、その人に、自分の思いを伝える必要があったし、そして、正確に分かり合える必要があった。今でも、社会や組織や会社は、そのコミュニュケーションでなりたっている。それと、同時に、PCと通信技術の発達により、世界は、ネットでつながってしまった。デジタル化されるものは、すべて、圧縮暗号化され、仮想の量子的空間に収納されてしまった。音楽も文学も絵画も映画も、情報は目に見えぬ電磁波の重なりとなり、世界の中を飛び回っている。ラジオやテレビであれば、その周波数に受信体をあわせて、増幅すれば、それが、聞こえるし見える。同じように、PCを開いて、相手のセキュリティをパスワードで開ければ、世界のどこでも入っていける。それが、高等技術でもなく、すこし、頭のするどい子供であれば、小学生でも、仮想空間でいたずらが出来てしまうほど、簡単になったのである。どうも、社会は恐ろしいパンドラの箱を開けてしまったらしい。ネット社会の構造は、単純で簡単である。それは、便利になったし、世界がひとつになるという点ではいいことである。しかし、ひとつ、そこに盲点があった。それは、人間の深層心理も重なるということである。ネット上で、人間の深層心理がうねりのように重なり、予想不能な反応として表層化するからである。人の心も裏と表がある。いい面もあれば、恐ろしい面もある。乱れず、穏やかな感情の波に乗っていれば、人を慈しめるし、乱れて、荒波の感情の波に乗れば、人を殺せるのである。平和時には、人を殺せないが、戦争時には、人を殺せるのである。

 人の心は、不確定的な動きをする。ロボットのようには動かない。人の動きも確率的な動きなのである。だから、統計がなりたつ。マーケット調査はある程度あたるし、選挙の出口調査もそこそこ高い確率で結果が予想できるのである。テレビで、CMをみたとしよう、誰があんなものを買う人がいるのかと、自分が思っても、世の中には、そう思わない人も結構いるのである。N数、それを見ている人の数が少なければ、ばらばらである。しかし、それが多くなってくれば、ひとつの確率分布に近づくのである。正規分布になるのである。それが中心極限定理の基礎である。自分はそうは思わない。しかし、自分もひとつの全体の一個でしかない。自分の意思も全体の中に埋没するのである。どのくらい売れるかわからない、それは、その商品の価格と品質と需要で決まる。恐ろしいことだが、全体が多くなれば、そこに恐ろしいひとつの意思がでてくるのである。だから、今顕在化している事件や事由をみれば、それは膨大な数がそろった人間の意志として、出てきているのである。

 世界の原油や穀物の価格が上がっている。いろんな投機グループや個人も含めてそれに便乗して利益をむさぼろうとしている。それをやっている人間は、無機質な人たちである。たぶん、ひとりひとりは善良な人たちであろう、アメリカ人であれば、毎週、教会にいき、神の教えを聞いている人だろう、しかし、ひとたび、コンピュータールームに入れば、その仮想の弱肉強食の幻想の中に身を置く。まさしく、そこは、戦場である。実際に人は殺さないが、投機の仮想の中では、殺し合いをやっている。原油が上がれば、穀物があがれば、どうなるか、世界の中で、困る人が多くいる。その結果、貧しい国々の人々は飢えてしんでいる。自分の選択で、人が死んでいるとは考えていない。キリストの愛の話を聞き、チャリティの精神を聞き、神の前に懺悔した人も、その無機質の戦場では、自分を殺している。ただ、目的はひとつ、マネーゲームを制することである。儲けることが、彼らの正義なのである。


 その人たちが多くネットの中に集結する。自分がそう思わなくても、全体の流れがそうであれば、バブルは生まれる。N数が集まれば、そう思わなくても、そのゲームに参加している人は、その共同幻想を共有することになる。まさしく、戦場なのである。敵に情けを掛けた瞬間、自分が殺される。殺される前に殺すのが、鉄則である。それが戦場である。人が人を殺す、そこに人間性はない、感情もなく、相手も自分と同じ血の通った人間ではないと考える。考えることの余裕もない。恐ろしい、まったく無機質な状態である。もはや、人間がひとつのものとなるところである。原爆の恐ろしさを知っている人は、それが落とされたらどうなるか、それを一瞬でも想像したら、その人は原爆のスイッチを押すことは出来ない。人間の世界ではなく、無機質の死の世界だから、人が人を殺せるのである。それが、戦場なのである。

 人は自分のことがわからない。だから、自分が属するところの動向(トレンド)と、変動(確率的に変動する要因)が分かれば、自分が意識していないことが、そこに反映されるのである。優しい顔をした若い女性がいる。ゴキブリが目の前にいたら、急に目をつりあげて、スリッパでたたき殺す。たたき殺す瞬間に、その女性は我を忘れている。しかし、それが、その人の隠された深層心理でもある。おとなしい人にみえる。しかし、芯は、熱く激しい情熱家である。普通は、それが隠されている。しかし、何かの拍子にでる。それをあぶりだすには、その人たちが属するところの挙動をみれば、分かるはずである。

 社会は、あきらかに、おかしな方向へいっている。地球温暖化、自殺、通り魔殺人、ネット社会を通して、多量なN数の無意識な動きが顕在化している。もはや、ある意味、社会は戦場になっている。乱れている状態と、人が人の感情を失った死の世界が重なった状態なのである。乱れを抑圧し沈静化し、人の心に、愛の歌を響かせなければ、社会はますます戦場化することになる。温暖化も含めて、心が死に社会は弱肉強食の戦場とかす。そこに未来はない。



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