2008年07月22日

川口市中学3年女子父親殺傷 何故、刺したのか?

 これも、答えなどないはずである。事件の前日の夜、その長女は父親と一緒にカレーを作った。母親がパートからもどってから、家族一緒にビデオ鑑賞をして就寝した。ごく普通のありふれた光景である。もちろん、その父親は、いつものように、自分の自宅で、家族と一緒に寝たのである。数時間後、自分の娘に殺されるとも気づかずに。そして、その夜、台所の包丁を取り出して、その長女は、父親を殺害した。それだけを描写すれば、不気味な短編小説の出だしになりそうである。父親を突発的に殺害するのであるから、そこに、何かの理由はあるはずである。しかし、決定的な動機など、周囲からは聞こえてこないのである。もちろん、起訴するにしても、人が死んでいるのである。責任能力が問われるはずである。この事件を立件するには、何故、父親を殺害したのかという動機が必要なのである。

 ある意味、この事件は非常に恐ろしい。たぶん、この家族には、特異性がないからである。どちらかといえば、エリート的な家族であろう。しかし、そういっても、特別な特権階級でもない。製薬会社に勤める46歳の父親であれば、それなりの年収は貰っていたはずである。世間に比べるとすこし、楽な生活をしていたごく普通の家族だと考えてもいい。この長女も、それなりにこの環境の中で成長したはずである。今の時代の15歳の女子であれば、昔の17−18歳ぐらいの体力はあるだろう。たぶん、多情多感な年頃で、精神的なものに憧れをもったはずである。オカルト的なものや、宗教的なものに対して、14歳ー15歳の少女は、ある程度興味をもつはずである。数年前から始まる初潮とが、切っても切れない関係にあるからである。たぶん、闇の中で始まる初潮、それが繰り返される。それは、だんだんと肉体が、生殖を受け入れられるようになるための過程でもある。しかし、ある一部の14-15歳の少女は、それを悪魔からのささやきと感じるかもしれない。たぶん、少女は、どこかで、内部から排出される血の色に、おぞましさを感じたのかもしれない。それだからといって、それが父親を殺す遠因になるとも思えない。

 娘が父親を殺した場合であれば、普通、父親が少女を肉体的に虐待したかどうかの明確な事実が見つかる。しかし、それがなければ、それは少女の複雑な心理から出てくる。突発的に、父親を殺したりはしないはずである。衝動的に何かをしでかす少女であれば、すでに、何かしらの事件を過去に起こしているはずである。殺人は、究極の犯罪である。したがって、相手を否定するための殺人と、自分を守ろうとして相手を殺す場合がある。この場合、この長女は、寝静まった頃、突然、起きだし、台所にあった包丁をもって、父親のところに行き、刺し殺したのである。それも暗がりの中で実行したのである。何かにとりつかれて犯行を犯したとしか思えない。もし、父親も、自分の娘に殺される予感がしたならば、何かしらの予防をうったはずである。それがないのであれば、突発的に何かに憑依されて殺人を実行したということになる。


 しかし、人は、突発的に、殺人など起こさないものである。通り魔殺人でも、誰でもいいから、人を殺すという目的はもっているのである。ふと、夜中に、父親を殺したくなった、そして、それをいとも簡単に実行することなど、本来はありえないのである。何かしらの引き金があるのである。しかし、それが何であるか特定できない。太陽がまぶしかった。だから、人を殺したなど、小説では使えても、現実の調書では通用しない。太陽がまぶしかった。その後、人を殺すだけのストリーがやはりあるのである。それが見えにくいのであれば、14歳15歳女子の、なにかしら特有の現象があるようである。14歳のバスジャックの少年のように、本来は、越えない一線を、なにかのきっかけで、トンネル効果のように、飛び越えてしまったとしか言いようがない。

 それは、社会全体の乱れであろうか。この15歳の少女に毎日の刺激が注ぎ込んでくる。学校でのこと、家族でのこと、友人でのこと、性のこと、将来のこと、すべてが、この少女に入り込んでくる。それがあっても、父親を殺害するとは思えない。しかし、この少女には、なからず、何かしらの反射の扉があったはずである。何かがあったから、父親を殺すことになったはずである。それは、よほどのことなのか、それとも、誰もが忘れていて、彼女が突如、深夜それを思い出して、それで父親を殺すことになったのか。

 何かがあるはずである。しかし、もしそれが分かったとしても、たぶん、それは今の時代ではどこにでも転がっている問題のはずである。つまり、これからは、父親は、理由も分からずに、娘に殺される可能性があるということである。嫌な時代になった。本当に嫌な時代になったものである。


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